人たらし

7th water Lily /くぼきょうへい

消費と浪費

気付けば僕らは時間を消費していく生活に慣れていた。なんとなく時間が過ぎていくのを待っているような、この時間の必要性を感じれなくなっていた。思い出したかのようにせかせかと洗濯物を取り込む自分が鏡に写って、ちょっと太ったなと心の中で言う。昔知人から教わった服を早く綺麗に畳む方法とやらを今でも採用している。綺麗に畳めなくても、まとまってさえくれれば何も問題はない。畳終わったら何をしようと考えていると畳終わってしまって、世界を美しいと思うには随分と諦めてしまったんだなあと気付く。夕方と夜の狭間に出会った時、あの時はいつだって美しくて、どこがずっと切ない。夕方の空気はひんやりとしていて、いつも誰かを思い出す。また会いたい人。こんなに冷たい空気をあなたも感じていますか?こんなに冷たい空気に気付かないような、僕が嫉妬してしまうぐらいの満たされた生活ですか?たくさんの行き先がある中で、行き着いた先を間に受けては、だいたいみんなこうでしょ?と、これでいいんでしょ?と、胸を張る。自分に言い聞かせて進んだあの別れ道の選ばなかった先で、あなたが大人になるその日々の季節を感じたかった。

僕は僕の人生を美しいと思う為に、浪費する人生を歩もうと思う。