人たらし

7th water Lily /くぼきょうへい

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凝り固まった考え達が解けてきた最近は、ずっと「幸せとは」の答えを定義しようとしていた自分を客観的に思い出しています。街を歩けば美女と歩くブランド物とハード目なワックスで固められた雨の日の匂いを知らなさそうな連中とすれ違って、Twitterを覗けば整形やお金、まるでこっちが騙してやったと言わんばかりに自分の価値を見失った自虐、もしくは宗教や教祖にでもなりたいのかと思うぐらいに肯定的な「いつやるの?今でしょ」を擦った仕事に検討も付かない胡散草男。ペットショップには体に合わないケースの中で何千個と対面した目玉の暗さを知った犬と猫がいるし、結婚しても同じ墓に入りたくないと考える主婦だって存在する。世の中には沢山の裏切りがあって、希望があって、信用があって、涙があった。絶望からは目を背けるように生きていても、絶望は希望の中にあったし、不幸は幸せの中にあった。幸せの形はそれぞれだったし「どの幸せを選ぼうか」なんて考えることは自分の首を絞めた。きっと、幸せになりたいのなら幸せを作らなくてはならないと思った。あいつの幸せを自分がしたところで、自分が幸せになれるわけがないのに、自分はあの子みたいに、あいつみたいにと考えていた。やっと抜け出せそうだ。探さず、晒さず、悟れることへ向かう。