人たらし

7th water Lily /くぼきょうへい

12/12

もうとうの昔から自分に疲れ切っている。何でもない日々を送りたいのに、何にもないような日々が怖い。なのに、なにもうまくいかない日々になりたくない。自分で見つけたぽっかり空いた溝を埋めようとすればするほど新しい溝ができる。溝はヒビが入っていて、またポロポロと欠片が飛ばされていって、それを見て見ぬふりをできない。完璧がいい。必要な気持ちと不必要な気持ち、誰かに言われたくないだけのプライド。自分を試すような人生。この先もずっと。と歌う口先で、ここまで。と思う心。順番を間違えてはならない。強がりの後に弱さを。暗闇の後に光を。矛盾を循環して輪にするには段取りを踏んでいくことが重要だと思う。目指すのは「嫌いなのに好き」のはず。今暮らしているこの部屋にポツポツと落ちて見えない染みになっている不毛達は、次に住む人が踏んづけたとしてもなにも感じないんだろう。痛みは本人にしかわからないもの。家の裏路地には毎日撫でられ待ちの野良猫が日向ぼっこをしていて、というのも人間の依怗かもしれなくて、ただ食べ物が欲しいだけかもしれない。どう考えたとしても、自分じゃない誰かが考えていることはわからない。わからないから言葉を使うけれど、言葉が話せない犬や猫の方が考えていることがわかるような気がしてしまう。人間なのに人間が分からない。人間をもっと知りたいのに、人間に対してばかり知らないことが多い。もういいって言いたい毎日なのにもういいがまた増えていく。もういい疲れた