人たらし

7th water Lily /くぼきょうへい

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「孤独と向き合う時間が足らない人は負の感情を上手に扱えない」みたいな言葉を聞いて、本当にそうだなと思った。僕は孤独が本当に苦手で、でも1人の時間が好きで、自分で「あ。いま孤独だ」と気づいてしまった時、誰かを執拗に引き留めてしまったり、勝手に自分の人生を背負ってもらいたくなる。誰かを生き甲斐にしようとする。「自分の為に生きる」よりも圧倒的に「誰かの為に生きている」と考えた方が、自分自身が楽でいることができる。その分相手に背負わせることになるけれど。一人で生きることがこんなに難しいんだと最近になって痛感している。自分の為に生きることにとても自信がないから必死に誰かで頭の中を埋めて、その為のあれこれをこなして生きてみるけれど、それは信用しているのではなくて、逃避しているだけだ。自分から逃げているだけだった。自分で選んだものなんてなくて空っぽの中身を隠すかのように優しくして、まるで自分で選んだかのように振る舞って実はそこには何もないロジック。本当に怖いな、、孤独は。誰かの手で掴むような生き方を一生できるわけないのに。ここ数週間、孤独と向き合って、落ちて深くて、その深さを確認できないように上だけを向いていた。頭のどこかで下を見ないように、見せないようにと目尻に蓋をした。でもようやく少しこの深さにも慣れてきた。こんなに深い場所もあの浅瀬と繋がっていて、過ぎた浅瀬にはもう戻れないけれどずっと浅瀬のままでいてくれる。この深いところに落とした思い出とプライドはいま落ち続けていて、いつかでっかい潜水艦で拾いに行こうと思う。今は持つことができなかっただけだ。戻ってみたとき、もしかしたらもうガラクタなのかもしれないし、、いや、実はもうガラクタだって気づいている。なんとかまだ握っているガラクタはどうしようか。落とすのが怖い。落とすと孤独。落とさなければ僕自信が沈む。運が良いことに小さい頃に水泳を習っていたから、まだ浮いていられる。僕は力尽きるまでこのガラクタを落っことしてしまうまで、持っていたい。でももうこのガラクタの為ではなくて、これがもしかしたら僕の宝物になるんじゃないかってまた期待をしている。いまは自分で持っていると思う。ずっと青くて黒い空間を見ても前より怖くなくなった。のは、あの浅瀬が在り続けると思い出したから。