人たらし

7th water Lily /くぼきょうへい

人が居場所になる

学生の頃はよく遅刻をしていた。ただもっと寝たかったから遅刻をしていた。寝る時間を優先していた。そんな自分が遅刻をしなくなった理由は明確で、期待できなくなったからだ。自分に、期待、できないからだ。

 

「死ぬ」という選択ができる命に対して、その選択を選ばない理由がなんなのかを考える。親とか友達とか、身近な誰かを悲しませたくない。人が死を選ぶなんて傲慢だ。なんて理由で歯止めができるぐらいなら誰も死ねないとも思うし、みんな死ねるんじゃないかとも思う。死を選んだ人間に対してその選択が傲慢だと言える人間の方が傲慢だ。綺麗事だ。てめえの為に生きる訳がない。結局僕らが辿り着きたい場所は、そんな世間体ではない。

結局、結局のところ、、ただ1人だけ、愛する人の為に生きてみたい。てめえの為に生きてみたい。

高級車、ブランド物、地位、権力、金、そんなもの放っておいて、それでも僕を選んでくれて信じてくれて、離れないでいてくれる、1人にさせないでいてくれる、そんな場所でいてくれるたった1人の為に生きたい。そんな場所でいてくれるたった1人の、そんな場所で在り続ける為に生きたい。

何か自分の為にあった夢や目標を諦められる理由になってほしい。新しい夢になってほしい。僕が生きる理由になってほしい。そんな綺麗な話は非現実的なのかもしれない。世の中のカップルが、夫婦が、相手の事をそんな居場所だと心から言える番は多くないのかもしれない。それでも結局僕は命に尽きるその最後の瞬間に、

「今までそばにいてくれてありがとう」

この一言を言う為に、それだけの為に生きたい。

 

遅刻をしない理由が君を守る為になるまで、もう少しだけ実りのない人生を歩む。